IUGS Heritage Stones とは

IUGS (国際地質科学連合) は、1961年にパリで設立した地球科学に関連する唯一かつ最大の国連型国際組織で、122か国100万人を超える研究者、技術者や政策担当者で構成されています。この組織は、世界の地球科学関連のコミュニティが一体となり、地球科学の振興と発展を促進するとともに、地球科学の視点から地球規模での課題を解決することを目的につくられました。

『IUGS Heritage Stones』は、IUGSが設立する科学委員会の一つである国際地質遺産委員会が推進するアウトリーチ事業です。この事業は、国際的価値が高く、人類との関わりの歴史が古い天然石をヘリテージストーン(天然石材遺産)に認定し、その岩石学的特徴や文化的活用の歴史を英語文書として後世に残すことを目的にしています。また、英語で文書を残すことで、英語圏以外の地域の天然石材の国際的価値や認知度を向上させる狙いもあります。

国際地質遺産委員会の中のIUGSヘリテージストーン小委員会は、2017年から2024年にかけて複数回審査を行い、計55件の世界を代表する天然石材遺産を認定しました。これら55件のうち、24件は石灰岩などの堆積岩、17件は大理石などの変成岩、14件は花こう岩などの火成岩でした。これらの中には、マドリード王宮(スペイン)、タージマハル(インド)や月のピラミッド(メキシコ)など、世界遺産に認定された建造物で用いられている石材も多く含まれます。

2024年7月、『筑波山塊の花こう岩』は、日本そして東アジア初の天然石材遺産に認定されました。筑波山塊の花こう岩は、主に筑波花こう岩、加波山花こう岩と稲田花こう岩の3つに分けられており、特に加波山・稲田花こう岩は、真壁石や稲田石といった良質の石材としても有名です。これらの石材は、国宝の迎賓館赤坂離宮や国指定重要文化財の日本橋などに用いられ、明治以降の日本の近代化や西洋化の礎を築きました。またこれらは、江戸時代から続く真壁石燈籠や笠間焼の原料としても利用されており、国の伝統的工芸品の継承にも貢献しています。

 

迎賓館赤坂離宮

迎賓館赤坂離宮(国宝)

日本橋

日本橋(国指定重要文化財)

石切山脈

石切山脈(稲田石の採石場跡)

サンプル画像2

真壁石で作られる真壁石燈籠

ヘリテージストーン認定証

『筑波山塊の花こう岩』のIUGS ヘリテージストーン認定証

 

IUGSヘリテージストーンHP QRコード
  • P-1552
  • 2025年10月6日
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